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赤松 憲; 藤井 健太郎; 横谷 明徳
International Journal of Radiation Biology, 80(11-12), p.849 - 853, 2004/11
被引用回数:11 パーセンタイル:58.51(Biology)放射線エネルギーが生体分子に移動した場合、分子の励起や共有結合の切断を起こすことが知られている。吸収線量と突然変異等の関係についてはこれまで多くの情報の蓄積があるが、付与されたエネルギーと分子損傷の定量・定性関係についてはほとんど知られていない。これを明らかにすることにより線質による放射線影響の相違をさらに明確化できると考えられる。われわれはこれまでに放射光の分光により得られる単色軟X線を用いることでDNA構成分子の特定原子を選択的にK殻励起できることを示してきた。また単色軟X線により光電子やオージェ電子等の二次電子のエネルギーが決まるので、二次電子からのエネルギー付与と分子変化の特徴を抽出して調べることが可能である。本研究では上記目的のための最初のステップとして照射サンプルにチミンを選択した。光子には395, 407, 538eV単色光子及びCo線を用いた。分析はEPR法により行った。EPR分析では5-thymil radicalなどの安定ラジカルが同定された。生成したラジカルの種類は用いた光子間で明確な差はなかったが、定量的には違いが認められた。これらの相違はサンプル中に発生する全ラジカル種の密度の違いによるものと考えられる。本発表では生成したラジカル種の定性的性質についても詳細に報告する。
赤松 憲; 藤井 健太郎; 横谷 明徳
Radiation Research, 161(4), p.442 - 450, 2004/04
被引用回数:10 パーセンタイル:28.97(Biology)光子や2次電子エネルギーの違いとDNA損傷の関係を調べるために、DNA構成単位の一つであるチミンに放射光軟X線及びコバルト60線を照射し、プロダクトの分析を行った。放射光軟X線には395eV, 407eV(窒素K殻吸収端前後)及び538eV(酸素K殻吸収端上)の単色光子を用いた。照射物の高速液体クロマトグラフィーを行った結果、定性的には軟X線と線照射でほとんど相違は認められなかった。プロダクトのうち、ウラシル,ヒドロキシメチルウラシル,ジヒドロチミン,ホルミルウラシルが同定された。また定量的には、チミンの後方に出現する幾つかのプロダクトについて、線の場合は軟X線の場合より少ないことが明らかとなった。また、3種類の単色軟X線エネルギー間で吸収エネルギーあたりのプロダクト生成量を比較した結果、395eV407eV538eVの順になった。以上の結果は、光子や2次電子エネルギーと、吸収エネルギー-プロダクト生成量の関係を考えるうえで重要である。
横谷 明徳; 赤松 憲; 藤井 健太郎
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 199, p.366 - 369, 2003/01
被引用回数:3 パーセンタイル:27.69(Instruments & Instrumentation)DNA損傷の生体機構の物理化学的初期過程を解明することを目的とし、SPring-8の原研軟X線ビームラインの生物ステーションに電子常磁性共鳴装置を設置し放射光照射によりDNA構成分子に生じるラジカル種を測定している。本研究ではグアニンとチミンというふたつの代表的な核酸塩基を試料とし、酸素のK殻励起波長の軟X線を照射した時に現れるEPRシグナルを測定した。その結果、ビーム照射中にのみ現れる短寿命の不安定ラジカルと、ビーム照射によりしだいに蓄積してゆく安定ラジカルのふたつの成分が存在することを見いだした。酸素のK殻励起により電子がひとつ失われたカチオンラジカルがこの短寿命のシグナルであると推測され、これらが次第に安定なラジカルに固定されてゆくと考えられる。
Pinak, M.
Journal of Computational Chemistry, 22(15), p.1723 - 1731, 2001/11
被引用回数:3 パーセンタイル:21.87(Chemistry, Multidisciplinary)チミングリコール(TG)を持つDNAと修復酵素エンドヌクレアーゼIIIの複合体形成過程について、分子動力学計算を用いて調べた。修復酵素とTGを持つ30塩基対長のDNAが水溶液中に存在する系をモデル化し、2ナノ秒間のシミュレーションを行った。シミュレーション開始から約1ナノ秒後にDNAと修復酵素は複合体を形成し、シミュレーションが終了するまで安定な構造を保持した。酵素とDNAの結合領域において、グルタミン酸がリン酸結合のC3'分子から1.6オングストロームの位置まで接近していることがわかった。これは、修復過程で切断される2つの結合のうちの1つにあたる。また、TGのある部分でDNAは折れ曲がったが、この変形により修復酵素が損傷部分に近づきやすくなると考えられる。さらに、静電エネルギーの変化も損傷認識過程において重要な寄与をしていることが確認された。
Pinak, M.
Proceedings of 10th International Congress of the International Radiation Protection Association (IRPA-10) (CD-ROM), 5 Pages, 2000/00
DNAのピリミジン塩基に生じる損傷であるダイマーチミンとグリコールの性質、並びに修復酵素によるこれらの損傷の認識過程を調べるために分子動力学シミュレーションを用いた研究を実施した。チミンダイマーは紫外線により生じる損傷、チミングリコールは放射線により生じる損傷で、修復が適切に行われないと突然変異や発がんを生じることがわかっている。シミュレーションの結果、チミンダイマーについては損傷部分におけるDNAの折れ曲がりと静電エネルギーの変化が、修復酵素による認識過程で重要な要因であることが明らかになった。チミングリコールについては損傷部分の立体構造の歪みが観察された。この歪みがDNA複製過程の進展を妨げることが推測されるが、認識過程との関係を探ることが今後の課題である。